すでに感染した人も、インフルエンザワクチンを接種すべきか?(三重県伊勢市小俣町耳鼻科病院ヤノハラクリニック)

みなさんこんにちは。耳鼻咽喉科やのはらクリニック院長の矢野原元です。

インフルエンザの感染が急拡大しています。2025年11月18日に、三重県では過去10年で最も早く警報レベルが発表されました。警報レベルとは1定点医療機関あたりの患者数が31.49人となり、国の警報レベルの目安である30.0人を超えました(三重県ホームページより)。

当院(伊勢市)でも連日インフルエンザの患者さんが受診されています。近隣の学校でも、学級閉鎖が発生している状況です。

たくさんのインフルエンザに感染した患者さんを診察させていただいていますが、特徴としてはインフルエンザは急な高熱と全身の倦怠感・筋肉痛などの全身症状がでることがほかの風邪とは違う印象です。隔離室に診察に伺うと、ベッドでぐったりしている患者さんが多いです。

↑インフルエンザの患者さんの雰囲気がうまく表現されているイラストだと思います。診察室でもこんな患者さんが多いです。高熱、悪寒、筋肉痛、関節痛。ほかのウイルス性の風邪の患者さんでこのような人は少ないです。

症状が急激に悪化したり、38℃以上の高熱や強い全身の倦怠感がある場合は、インフルエンザの可能性が高いので、家族や友達に感染を拡大しないように注意し、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

昨年もそうでしたが、これほどインフルエンザの流行時期が早いと『すでに感染してしまったのですが、ワクチン接種は今からでも意味がありますか?』と質問されることが多くなりますので、僕の意見を書いておこうと思います(あくまでも、ワクチン接種は個人の考え方や、意思を表示できない子供の場合は保護者の考え方によって自由に選択されるべきものというのが大前提です。誰からも強制されるものではありません)

一般的に、インフルエンザに感染した方は抗体を獲得し、同株のインフルエンザにおいては感染しにくかったり、重症化をへらすと考えられます。しかし、インフルエンザウイルスは数種類のウイルス株が同時に流行することもよくあるらしく、一度感染したとしても残りの株にまたかかるリスクはあります。インフルエンザワクチンは厚生労働省がその年の流行を予想して4種類の株を選定し、A型で2種類、B型で2種類の株に対応できるよう製造されています。以上より、一度インフルエンザにかかった方も、他の株に感染しにくい(重症化しにくい)ように、ワクチン接種は推奨されると考えます。

僕は、健康な人も含めて全員がワクチン接種が必要とは思いません。インフルエンザに感染しても、元気な方が致命的な状態になることは極めて少ないからです。しかし、高齢者、基礎疾患のある方、乳幼児、妊婦、僕のような医療従事者、幼稚園や学校の先生、受験生、自分は元気だが家族に免疫不全の方がいる、休めない仕事がある人、受験生など、少しでもリスクをへらせるようにワクチン接種を考えてはいかがでしょうか。

コロナ騒動前は、インフルエンザは例年11月下旬~12月に発生し始め、1月~2月がピークといったイメージでしたが、その常識が変わりつつあるのでしょうか?

それではみなさん、楽しいクリスマス、年末年始を過ごすためにも、ワクチン接種(必要な方)、手洗い、うがい、(風邪症状のある方は)マスクなど感染対策よろしくお願いします。