そろそろ政治家に決断してほしい(伊勢市小俣町耳鼻科病院やのはらクリニック)

みなさんこんにちは。耳鼻咽喉科やのはらクリニック院長の矢野原元です。現在、新型コロナ感染者数は増え続けています。感染者だけでなく、濃厚接触者も増え続け、みなさんの職場でも、自宅待機となっている同僚が多くなっているのではないでしょうか。当院でも、連日発熱外来では、第6波まででは考えられないような陽性者数です。

そんな中で、また一つ残念なニュースが7月21日に発表されました。塩野義製薬が緊急承認を申請していた新型コロナウイルス感染症の経口治療薬「ゾコーバ錠」が緊急承認が見送られたというのです。5月に新たに認められた「緊急承認」を適用した初の審議の対象だったのですが、承認されませんでした。おそらく、この異常事態の中、見切り発車的に承認されると思っていましたが、ストップがかかりました。

もし国産のコロナ治療薬が供給されれば、新型コロナ感染症の患者の軽症者は我々開業医が主に外来だけで診断治療をして、重症者だけ総合病院に入院という流れになり、5類感染症への格下げが一気に進むと期待していました。まさにインフルエンザと同様です。思い出してください(もう忘れている人もいるかも)、インフルエンザになっても、タミフルやイナビルなどを処方されて『5日間は学校に行かないでね』とよく説明していました。もちろんその他の家族は普通に生活していたと思います。

 

←新クリニックは順調に建設中です。駐車場がせまくなり、ご迷惑をおかけしてます。また近隣の方々には騒音でもご迷惑をおかけしていますがご容赦ください。

 

 

現在、日本は様々な決断に迫られています。例えば、『上記のゾコーバの承認の是非』『濃厚接触者の待機期間の短縮』『新型コロナ感染症の5類感染症への変更の是非』『行動制限の是非』『ワクチンの接種対象』などです。それらの決断をするために科学者や医師の意見を聞いています。

医師の意見を聞けば、今までとおり2類感染症相当扱いで、全数把握して、濃厚接触者追跡して、国費で検査や治療やワクチンをうけられ、できれば行動制限もかけて、コロナ感染による死亡者を0に近くなるように意見するしかないと思います。

医師の立場では『コロナ感染症による死亡者、医療崩壊で他の疾患でなくなる患者さん、救急搬送できない妊婦、行動制限による経済的理由での自殺者、子供の命、高齢者の命、どれを優先する?』と聞かれたら、答えは『そんなのすべてが大事にきまってるやん』です。少なくとも公式の場ではそう答える医師が多いと思います。理想論とわかって、すべての命を救うように意見するしかないのが医師と思います。そのため、医療政策での政治決断は医師にはできないと思います。

時に命の選別になりうる医療政策の決断は政治家の仕事と思います。政治家には『分科会』などの意見や重症化率や死亡者数などを客観的にみて、優先順位をきめて決断してほしいです。現在の患者数がどんどん増える中では、新型コロナ感染症を、過大評価(致命的感染症)して厳しい行動制限をかけるか?過小評価(インフルエンザと同等)して制限を緩め、全数把握や待期期間をなくす?のどちらかを決断するしかないと思います。

連日昼休みと夕方の診察後の発熱外来では、猛暑の中で感染防御服やフェースシールドをつけて駐車場の患者さんの車の間を走り回ってます。汗が噴き出してきますし、意識がもうろうとするときもあります。患者さんに『暑い中ありがとう、先生頑張って』と言ってもらえるだけで疲れがとれます。本日8/8の昼間はゲリラ豪雨の中でずぶぬれになっていると、患者さんの一人が車からそっと傘をさしてくれました。本当に涙がでそうになりました。

僕は政治家が決めたルールの中で、一人の医師として目の前の患者さんを、しっかり診察していくだけです。みなさん楽しい夏休みをお過ごしください。