子供のコロナワクチン接種について(三重県伊勢市小俣町耳鼻科病院やのはらクリニック)
みなさんこんにちは。耳鼻咽喉科やのはらクリニック院長の矢野原元です。
最近一か月は、スギ花粉症の患者さんが多く、耳鼻科医として1年で一番忙しい1か月でした。ゴールデンウィークまでヒノキ花粉も飛散しますので、引き続き花粉症の患者さんは注意お願いします。
耳鼻咽喉科には、子供の患者さんも多く来院されます。当院では約3割くらいの患者さんがお子さんです。最近子供を連れてくるお母さんから『5-11才の子供の新型コロナワクチン接種についての考え』を質問をされますので、このブログで取り上げたいと思います。(成人のワクチンについては過去のブログで何回も取り上げ、基本的には接種すべきと思っています)
5-11才におけるワクチンの効果をここでは簡単に書くと『12歳以上の者に匹敵する有効率で、病気の発症、重症化を予防する効果が期待される』と厚生省のHPにも書かれています
副作用もここでは簡単に『5~11歳においても、12歳以上の者と同様に、ワクチンを接種した部位の痛みや倦怠感(からだがだるい)、頭痛、発熱など、様々な症状が臨床試験で報告されていますが、ほとんどが軽症から中等症で回復しており、現時点で得られる情報からは、安全性に重大な懸念は認められない』と書かれています。
上記を前提として、
①そもそも新型コロナウイルス感染症が、子供にとって致命的な疾患なのか。
もし、エボラウイルス(エボラ出血熱)が日本で蔓延していれば、このようなワクチン接種するかどうかの議論にならないと思います。ワクチンの奪い合いになると思います。当院でも、新型コロナ感染症の患者さんを数十人診断していますが、少なくともオミクロン株に関して言えば、重症患者さんは一人もいませんでした。とりたてて致命的な疾患とは言えないと思います。しかし、家族内感染が多く、一家全員感染といった家族も多く、また自宅待機の期間も長く、父親は仕事にいけず、子供は学校を休むといった、社会的、経済的な影響は大きくなります。命を守るためにワクチンを打つというより生活を守るためにワクチンをうつという意味も大きいと思います。
➁子供に基礎疾患はあるか
子供の感染では軽症が多いと言われていますが、まれに重症化することがあります。とくに肥満、慢性呼吸器疾患、神経疾患、心疾患、免疫不全、ダウン症などの染色体異常がある子供は重症化リスクが高いため接種が推奨されます。
➂生活環境や家族構成
高齢者や、基礎疾患のある人にとっては肺炎になるリスクが高くなると思います。同様に、子供は健康で若くとも、高齢者や持病のある人と住居をともにしていれば、子供が感染し家庭に持ち込むことは絶対避けたいはずです。また、僕のような医療従事者の子供であれば、ワクチンのメリットも増えるかもしれません。あとは、大事な試験を控えているとか、どうしても休めないイベントが控えているとか、海外に行く予定があるなども接種理由になるでしょうか。
➃現在、新型コロナの流行によって子供に過度の行動規制を行っているか。
僕は、新型コロナを恐れるあまり、子供に過度な行動規制は必要ないと思っています。しかし家庭によっては、幼稚園や学校、習い事を避けたり、休みがちになったりがあると聞きます。もし子供たちに日常生活や学校生活で過度の我慢を強いているならば、ワクチンをうってできるだけ行動規制をなくすべきと思います。
➄接種時(接種後、免疫獲得時期)に、感染が流行しているか。
感染者が少ない時は、それほど問題にならないと思います。今までも、インフルエンザワクチンを夏に向けて接種する人はいなかったと思います。おそらく大人と同様に、接種後月日が経過すれば免疫が落ちてしまいます。現在のような流行期ならば、接種による利益はより高いと思います。夏でも流行する今回のウイルスは季節では判断しにくいです。
以上から、
☆重症化のリスクのある子どもは接種を受けるべきと思います。
☆子供が感染した場合は、両親もかなりの高確率で感染すると考えたほうがよいと思います。致命的な症状はないかもしれませんが、(現在のように指定感染症扱いが続けば)感染によって家族全員が、かなりの社会的な制約をうけると思います。父親が個人経営者などは経済的損失も大きくなる家庭もあると思います。もちろん子供も自宅待機になってしまいます。
僕のなかでの結論をいうと『子供の接種時期に、今のような感染者が多い状況であればワクチン接種するべきなのかな』と思います。
ご両親によって、様々な考えがあると思います。厚生省のHPや、小児科学会のHPなどに多くの情報がでていますのでご覧になってみてはいかがでしょうか。