キッズルームの絵本選びも大事な仕事 三重県伊勢市小俣町耳鼻科病院やのはらクリニック
みなさんこんにちは。耳鼻咽喉科やのはらクリニック院長の矢野原元です。
突然ですが、みなさんは自分の仕事のやりがいをどこに感じるでしょうか?
よくテレビのグルメ番組みていると、ラーメン屋の店主が「お客さんがおいしいと言って、スープまで飲み干してもらった時が幸せ」と言っています。建築業の人が「理想の建物を建てて、お客さんに喜んでもらう」とか、営業サラリーマンの人なら「大きな契約をとれたときや難しいプロジェクトを任されたとき」などがやりがいを感じる時でしょうか?
一般的に我々医師の場合、患者さんの病気を治して(命を救って)、本人や家族に喜んでもらうことにやりがいを感じることが多いと思います。または新薬を開発したり、病気の原因を探ったり、新しい術式を開発したりの研究でやりがいを感じている先生もいます。実際、僕も開業医になるまでは大学病院に長く勤めていたため、癌の患者さんや、気道狭窄による呼吸困難の患者さんの命を救ったと思えることが何度もありました。患者さんの家族に涙ながらにお礼を言われたときは、本当に医師になってよかったと思える瞬間でした。その瞬間のために、自分の時間や家族を犠牲にして昼夜働いてきました。一方、開業医になってからは致命的な現場に遭遇することは激減します。それでは開業医は、やりがいは減ってしまうのでしょうか?
確かに、町の小さな耳鼻咽喉科開業医をしていると、風邪の患者さん、アレルギーの患者さんなどが多く、命に係わる仕事ということは極めて少なくなります。癌をみつけることはありますが、治療は総合病院の耳鼻咽喉科に紹介することになります(当院の場合は伊勢赤十字病院耳鼻咽喉科の先生方に大変お世話になっています)。
しかし、開業医には開業医のやりがいを感じることがあります。最近の具体例を書くと、12才の男児。中耳炎でかかりつけクリニックで薬をもらっても、発熱が数日間続くことを理由に受診になりました。明後日に修学旅行を控えています。お母さんは修学旅行に行かせてあげたくて、焦っています。大きな男児でしたが、両側の急性中耳炎になっていました。熱があると、修学旅行から強制帰宅とのことで、どうしても熱を下げたいとのことでした。このまま内服では改善が難しいと判断し、初めから鼓膜切開(鼓膜を切って膿を出す)を施行しました。翌日には解熱しており、無事修学旅行にもいけました。修学旅行から帰ってきて報告を受けた時、こちらもすごくうれしい気持ちになりました。
もう一つ、最近の具体例。20代の男性。風邪をひいてから声が全然でないからなんとかしてほしいと言って受診。明日は自分の結婚式でスピーチをしないといけない(笑)正直これは厳しいと思いましたが、最善を尽くそうとステロイドの点滴をして、明日スピーチの一時間前にステロイド内服を指示しました。後日、ガラガラ声ではあったが、なんとか声はでてスピーチはできたとの報告をくれました。大学病院に勤務していたときなら、「無理無理、声を治す特効薬なんてないよ。気合で声だしな」と言っていたかもしれません。
小さなことなら、毎日のようにやりがいを感じれます。「鼻が悪くて寝られない子供が、薬を飲んでゆっくり寝られるようになった」とお母さんに言っていただいたり。インフルエンザのワクチンを打ったときに患者さんから「全然痛くなかった」と声をかけてもらったり。開業医は経営者でもありますので、患者さんからスタッフや、クリニックを褒めてもらったり。クリニックの待合にクリスマスツリーをかざって、患者さんが喜んでくれたり。僕が選んだ、キッズルームの絵本を、たくさんの子供たちに読んでもらったり。
本当にたくさんのやりがいを感じながら仕事をしています。今後ともよろしくお願いします。
子供たちが楽しそうにキッズルームで絵本を読んでいるのをみると本当にうれしくなります。最近は絵本も高く(1500円以上も多く、びっくりします)、各家庭で買うのも大変ですよね。いつもネットでよさそうな本を買うのですが、今回は実店舗で以下のような絵本大賞が発表されていましたので、1位から5位まで購入してみました。
キッズルームの本棚に置いてますので、読んでみてください。しばらく寒暖差が強い季節かと思います。みなさん、体調に気をつけてください。