インフルエンザ経鼻生ワクチンの『フルミスト』について(三重県伊勢市耳鼻科病院ヤノハラクリニッ)

みなさんこんにちは。耳鼻咽喉科やのはらクリニック院長の矢野原元です。朝晩の空気がひんやりとし始め、窓を開けるとエアコンをつけなくても寝られるようになってきました。今年の夏は大変暑く1898年の統計開始以来127年間で最も暑い夏であったようです。これまでも毎年『今年の夏は暑いなぁ』と言ってましたが(笑)今年は平均気温の基準値との差が過去最高の+2.36度となったようで数値でもしっかりと暑かったようです(気象庁ホームページより)。たまにスーパーに行くと、最近の物価の上昇にも驚かされます。今後も日本の気温と物価は上がり続けるのでしょうか。
さて、例年この時期になるとインフルエンザワクチンの接種がはじまります。当院も10月6日(月)より開始します。詳細やネットでの予約の取り方などはホームページのおしらせの『インフルエンザワクチンについて』をお読みいただければ幸いです。
当院では注射でのワクチン接種を13才以上の方を対象にして、12才以下の患者さんはかかりつけの小児科医院での接種を推奨しています。
理由は、『当院の隣に小児科医院があること』『普段から通っている小児科であれば、お子さんのこれまでの病歴やアレルギーや予防接種の履歴などを把握しているため、より安心であること』『やはり小児科の先生は予防接種を日常的に行っているため、また子供の細い血管の採血も日常であり、注射に慣れておられ(まさに注射のプロで)お子さんの負担が少ない事』『小児科医院では予防接種専用の時間帯がある場合があること』などです。子供がワクチン接種する場合は当院より小児科医院のほうがメリットが大きいと判断しています。
当院の患者さんの約3割は高校生以下の患者さんです。よく当院でも『子供のインフルエンザワクチン接種できませんか』とお母さんから質問をいただきます。上記の理由で、かかりつけ小児科での接種をお勧めしています。
一方で日本で近年承認・使用が始まった新しいタイプのインフルエンザワクチンで、鼻に噴霧する(点鼻する)タイプの生ワクチンフルミストが登場しています。従来のインフルエンザワクチン(注射)とは異なる特徴を持っています。
☆メリット
①痛くない:注射針を使わないため、注射が苦手なお子さんにとって大きなメリットです。
➁1回で済む:12才以下のお子さんでも、1回の接種で完了します。
③ウイルスの侵入経路である鼻の粘膜に直接免疫(粘膜免疫)を作るため、発症予防効果が注射型よりも高いことが期待されています
➃効果の持続期間が長い:注射型がおよそ5ヶ月程度であるのに対し、フルミストは約1シーズン(約1年)効果が持続すると言われています。
☆デメリット
①副反応:生ワクチンであるため、接種後に軽い風邪のような症状(鼻水、鼻づまり、のどの痛み、軽い咳など)が30〜50%の方で見られることがあります。これは、鼻の粘膜でウイルスが弱く増殖して免疫が作られる過程で起こります。
➁接種できない人:2歳未満、19歳以上、重度の喘息やその他の重い慢性呼吸器疾患がある方、免疫不全の状態にある方や、その状態にある家族と濃厚に接触する可能性のある方(生ワクチンであるため)、重度の卵アレルギーがある方(製造過程で卵が使用されているため)、妊娠中の方
③値段が高い:一回接種では割高になります。しかし12才以下では注射も2回接種が多く、あまり変わらないかもしれません。
当院ではフルミストに限って、2才~18才までの方で接種をうけつけることにしました。注射でのワクチン接種は引き続き、かかりつけ小児科での接種を推奨します。
鼻に噴霧するので、我々耳鼻咽喉科医にとっては得意です。上記のメリット、デメリットをご理解の上、ご希望あれば予約してください。注射でのワクチンはネット予約ができるようになっていますが、フルミストは受付での予約お願いします(仕入れ値が高く、保存がききにくく、無駄にしたくないので確実な予約にしたいです)。
値段は7500円です。本当に高いですね。薬剤代がほとんどです。何か質問あれば診察中でも聞いてくださいね。