コロナに負けるな! (三重県伊勢市小俣町の耳鼻科病院)

こんにちは。やのはらクリニック院長の矢野原元です。

世の中やテレビは『新型コロナウイルスCOVID-19』の話題ばかりです。3か月前まで、芸能人の不倫や麻薬の話題ばかりだったのが嘘のようです。最近のテレビをみていると本当に暗くなります。

テレビの中で、いつも誰かが怒っています。

テレビの中でいつも誰かが誰かに文句を言っています。

テレビの中でいつも『誰がいくらもらえるなど』お金の話をしています。

文句を言いたくなるのはわかりますが、今は一致団結するときと思います。安倍総理でも、トランプさんでも未知なるウイルス『COVID-19』の収束時期はわかりません。確実な政策はだれにもわからないのです。

テレビをみて暗くなっているだけではだめで、医療者として『新型コロナ』については何らかの発信をするべきと考えましたが、テレビやインターネットに情報があふれているため、ただの町医者の僕だから知っているというものがありません。そのため、今回は現在ある情報を整理してみようと思います。

1、COVID-19は中国武漢を発端に、世界に拡大し、3月にWHOにより『パンデミック』と認定されている。

2、潜伏期間は1-14日。平均5日。最大14日を考える。

3、80%は軽症にとどまり、14%が重症化し、5%が集中治療を要する。色々報告がありましたが重篤化するのはだいたい2割くらいらしい。死亡率は後述。

4、死亡者の多くが高齢者で、心疾患や糖尿病など基礎疾患を有している方が多い。

5、症状は、発熱や咳、息切れ、痰など呼吸器症状が主体。加えて筋肉痛や倦怠感。

6、感染様式は、接触飛沫感染。

7、重症化する場合。発症から7日くらいの経過で、比較的急速に進行する。

8、今のところ確実な治療薬はなく、対症療法。

私たちの住む三重県にも、検査をしていないだけで『無症状の新型コロナ感染者』がいるのではないかとの意見もありますが、上記の3番でも書いたように2割が重症化することからも、検査にかからない軽症者だけ大量にいることは考えにくいと思われます。

8割が軽症であることからも、また検査して陽性であっても治療法がないことからも、いままでの日本の『PCR検査する患者をしぼる』方針は、支持できたと思います。おかげで、流行初期に基幹病院に『疑い患者』が殺到するような事態はさけられたと思います。また、医療資源を重症患者に集中投入でき、後述するように死亡率の低さに寄与しているのかもしれません。しかし、現在は状況が変わってきており、感染が拡大する都会では『医療崩壊』が現実に起こるかもしれないと言われています。いままでの日本の方針が正しいかどうかの判断は、現在では難しいです。コロナの流行が落ちついたときに十分検証されるべきと思います。その検証が今後に生かされることを期待します。

大事なのは死亡率と思いますが、国によってや報告によってばらつきがあるようです。死亡率=死亡症例数/感染症例総数ですが、分母の感染症例総数の全体把握が現在困難であることから正確にはだせないと思います。また医療レベルの低い国や、感染爆発による医療資源の枯渇があった国(武漢やイタリア)では高くなる傾向があります。

最近まで日本ではPCR検査を『疑い濃厚の患者』に絞って検査していましたので、死亡率は高くでるはずです。しかし日本での死亡率は2%との報告もあり、他と比べても低く僕にとって現在の最大の疑問です。もしかすると、日本の医療レベルの高さからくるものかもしれません。正確な死亡率は、今後簡便な抗体検査などが出現し、感染症例総数がはっきりするまではわからないと思います。

ウイルスの全体像が見えない以上は、軽くみることは絶対に良くないです。しかし、重症者は高齢者の基礎疾患を有する人に多いと言われています。言い換えれば、健康な人の多くは完治しているわけです。多くのウイルスが原因である疾患は、抗生剤や手術は大半が無力であり、マスクを買い占めるよりも、しっかり寝て、ストレスを避け、しっかり食べて栄養をつけて、定期的に運動もして免疫力を高めることが大事です。糖尿があるかたも、主治医の先生のいうこと聞いて血糖コントロールをがんばりましょう。喫煙は今回のウイルスでも死亡率をあげる一因との報告がでてきています。禁煙をめざしましょう。暗い顔をせず、笑って免疫力をあげましょう。

将来、人類はこのウイルスのワクチンを開発し、多くの人がCOVID-19にたいする抗体を持つときがくると思います。しかし、それらは他のウイルスには効果がないのです。次に流行するウイルスはどんなものかはわかりません。もしかするとCOVID-19なんて比較にもならない致死率のものかもしれません(考えたくもないですが)。今回の新型ウイルスの蔓延で、改めて各個人の基礎体力、免疫力の大切さを再認識し、患者さんにも伝えていきたいと思います。

なんでも自粛で、つらい日々が続きます。大打撃をくらってるであろう観光業や飲食業の人たちがんばってください。観光業や飲食業は、伊勢市にとって絶対に必要です。なんとかこの難局を乗りきってください!

たまにでかけるといったら公園でしょうか。写真は病院の近くの相合公園でみつけた『つくし』です。こんな時でも春はきています!コロナに負けるな!