少子化対策は、もう手遅れ?(三重県伊勢市耳鼻科病院やのはらクリニック)

みなさんこんにちは。耳鼻咽喉科やのはらクリニック院長の矢野原元です。
最近は昼休みや木曜日を利用して学校へ耳鼻科検診に伺うことが多いです。僕は小学校を2校、中学校3校、高校を2校、特別支援学校1校を担当しています。1回に300人くらい検診する学校もあり、意外にも体力を使います。特に小学1年生を診察するときには、低い姿勢で行うので腰にきます(笑)いつもは検診がおわると『やっと終わった~疲れた~』と言う感じです。
しかし今年はある学校に行ったときに、『あれ⁉もう終わり』と感じたのです。聞いてみると、生徒数が減って、クラス数も減っているようなのです。ここ数年なんとなく感じていたのですが、今年は明らかに少なくなっているなと感じました。
そこで、恐る恐る日本の少子化について調べてみました。2024年の全国の出生数68万6061人で、前年より4万人以上減少し、統計史上初めて70万人を割り込み過去最低であった。1949年の約269万人(現在76才の方々)をピークに、
さらに深刻なのが合計特殊出生率です。
少子化が問題として認識されたのは、なんとかなり昔で1990年の合計特殊出生率が1.57になった時のようです。思っているよりずっと昔から問題だったのです。このことはさらに深刻なことを表します。そうです、子供を産もうとする20~40代の女性は、すでに少子化の時代に生まれた女性たちなのです。つまり母親になれる女性も少ないわけで、少子化対策がもう手遅れかもと言われる理由です。この30年、政治は色々な対策をしてきました。おそらくそれらの対策をしなければもっと急激な人口減少になっていたかもしれません。しかし、1990年から30年たった現状の出生率を考えるとそれらの対策が適切だったとはいえないと思います。
現在、僕も二人の子供を育てており、日本の子育て支援には感謝することが多いです。しかし、子育て支援は本当に少子化対策に効果的なのでしょうか?現在の少子化の原因の一つが、『未婚化、晩婚化』と言われています。夫婦が最終的に持つ子供の数の平均値(完結出生児数というらしいです)が2121年では1.90人(これも2より下ですが)。つまり結婚するとそれなりに子供を持っていることになります。良いか悪いかは別にして、日本では婚外子が少なく、多くの日本人の感覚が『結婚→出産』である以上、もっと結婚前(出産前)の若者を、もしくは結婚自体を支援する必要があるのでは?(もちろん子育て支援も必要ですが)
最後に三重県の現状を(2024のデータがネット上で見つからなかったので2023年です)。合計特殊出生率は2023年に1.29となり、2022の1.40から0.11低下。2023年の出生数は9,524人で、前年の10,
三重県は、年間死亡数が出生数を上回る「自然減」の状態にあり、
今年の耳鼻科検診をうけた小学生は少なくとも6,7年前に生まれた子供たちです。今年生まれた子供たちが入学する6.7年後はさらにクラスが減っているのでしょうか?もしかして学校がなくなっているのでは??我々の住む、伊勢市はある??このままで我々の生活は持続可能なのでしょうか??何か思い切った、起死回生の、対策が必要なのではないでしょうか??
きたる参議院選挙の公約は、『今後結婚した人に、〇〇〇万円支給』『働く20~30代減税』でどうでしょうか???子供を持つ前の若者を支援しないと、子育て支援も受けることができないわけですから。