令和3年 今年もお世話になりました。(三重県伊勢市小俣町耳鼻科病院やのはらクリニック)

みなさんこんにちは。耳鼻咽喉科やのはらクリニック院長の矢野原元です。

一時期日本では収束に向かっていると思われた新型コロナウイルスは、オミクロン株の出現で、またもや流行の兆しがみえています。年明けに第6波は確実と言われる先生が多いです。今のところオミクロン株の特徴として感染力の強さが言われていますので、水際対策を頑張っても日本だけ流行しない可能性は低いと思います。コロナ禍は約2年になろうとしています。その間、ワクチン接種のおかげと思われますが、死亡率も下がっています。また自然に感染して抗体をもつ人も増えていると思います。効果的と思われる治療薬も承認され始めています。個人的にはオミクロン株の重症化率などがデルタ株などと比べて大きく変わらないのであれば(ややもすればさらに低下するのでは?)、指定感染症から通常の感染症(5類感染症)への変更の議論を早くするべきと思います。そのうえで重症の患者さんだけ総合病院に入院し、多くの軽症は我々クリニックが対応するべきと思います。ウイルスは変異していきます。私たち人間もウイルスに対する対応を変異していかなければいけません。

令和3年も、残すは数日となりました。今年も伊勢赤十字病院の先生方、市立伊勢病院の先生方、近隣の開業医の先生方、地域の方々、当院スタッフの力をかりてクリニックを運営することができました。本当にありがとうございます。来年も、地域医療、伊勢市の発展に少しでも貢献できるように努力いたします。

来年は当院にとって大きな変革を予定しています。現在、新病院建設にむけて設計士の先生と準備をしています。場所は当院の隣の駐車場に新築を予定しています。旧病院で診察しながら、建設をすすめ、順調にいけば秋頃には完成をめざす予定です。先日、新病院建設にむけて患者さんにアンケートを実施しました。その中のご要望で多かったものが、♯1:キッズスペースの設置(授乳室なども)♯2:プライバシーに配慮した病院でした。

♯1キッズスペースの設置ですが、当院の患者さんの約2-3割がお子さんです。特に午後外来や、土曜日は子供の患者さんが多く来院されます。耳鼻科は難聴の高齢者から、中耳炎を繰り返す幼児、耳垢をとりにくる乳児まで、まさに老若男女の患者さんがみえます。もちろん、クリニック受診は子供にとって楽しいものではありません。少しでも、気がまぎれるような空間が作れたらと思っています。新病院ではキッズルームをこだわって作っていきます。

♯2:患者さんのプライバシーに配慮した病院も大事な意見と思います。現代では健康状態などは、大事な個人情報とみなされています。耳鼻咽喉科では、内科クリニックなどとくらべ1日の患者数が多い傾向があります。そのため、ある程度オープンスペースで患者さんの回転を優先するクリニックが多かったと思います。また、難聴の患者さんも多く、医師の声も大きくなります。特に僕は声が大きく、高齢者からもっと小さい声でも聞こえる❕と怒られるくらいです(笑)できるだけ、患者さん同士の目が合わないような病院構造にしたいと思います。スムーズな回転が維持できるレベルで、できるだけプライバシーが守られる診察室や検査室を作りたいと考えています。大きな声ではっきり説明することは、僕の『医師としてのアイデンティティー』『患者さんが当院を選んでくれる理由』と考えていますので、変えるつもりはありません(大きな声で説明できなくなったら、医師をやめるくらいの覚悟でやっています)。神経質な話題があるときは声を小さくしたり、場所や時間を変えたりといった工夫もしているつもりです。

アンケートでも圧倒的に意見が多かった以上の2点は、かなりこだわって設計していただく予定です。もう一つは、患者さんに『見せる医療』にもこだわってやっていきます。耳鼻咽喉科は、耳、鼻、のどなど患者さん自身では見えない部位の病気が多いです。幸い、現代ではカメラの精度やモニターの発達が目覚ましいです。できるだけ、患部を撮影し供覧できるような機器を導入していく予定です。そのうえで、しっかり病状説明していきます。

↑現在のクリニックです。父親が約30年前に開院しました。その前は、伊勢市の大世古で祖父と曾祖父が耳鼻咽喉科医院をしていました。いまも僕の祖父に手術をしてもらったという高齢の患者さんが時々みえます(笑)

現在のクリニックは、築30年ですが、確かにプライバシーへの配慮の難しさや受付の狭さ、よく言えばノスタルジックなトイレなどをのぞけば、まずまずきれいに残っています。特に待合室は、手前みそですが、アットホームで温かみのある空間で、僕も大好きです。この建物で父親が頑張って仕事して、地域の人々と信頼関係を作ってきました。そのおかげで、僕もスムーズに開業医としてのスタートがきれています。しかし、令和の時代、プライバシーや感染症を気にする時代においてはみなさんの期待に添いにくい建物になってきているのも事実です。父親(まだ元気に生きてます)への尊敬、感謝を忘れず、前に進もうと思います。

今年の年末年始は寒くなりそうです。雪かきのニュースをみるたびに、雪国の人々の忍耐力の強さに驚くとともに、雪があまり降らない地域にすんでることは幸せだなと感じます。雪道の事故や、気温変化による体調悪化にご注意ください。来年も地域のみなさんに耳鼻咽喉科医としてお役にたてるように努力していきます。どうかみなさん、良いお年をお迎えください。来年もよろしくお願いします。