インフルエンザワクチンについて(三重県伊勢市小俣町の耳鼻科病院)
みなさんこんにちは。耳鼻咽喉科ヤノハラクリニック院長の矢野原元です。
毎年冬になるとインフルエンザの流行が見られます。我が国では1シーズンに少なくとも数百万人、多い年は1千万人以上の罹患者が発生するようです。
インフルエンザは感染してから1から3日間ほどの潜伏期のあとに発熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛、咳、鼻汁などの症状が現れ、約1週間ほどで改善するのが典型的経過といえます。
特に高齢者や、慢性疾患(循環器、呼吸器、腎臓疾患、糖尿病など)をもつ患者さんは重症合併症などで、少ないですが致命的になることもあります。致命的にならないまでも、罹患すると仕事や学校を長期に休むことになってしまいます。
そうならないために、ワクチン接種が行われます。
☆インフルエンザワクチンの効果はあるのでしょうか??
確かにインフルエンザワクチンはほかのウイルスに対するワクチン(例えば麻疹や風疹など)にくらべて、感染を完全に阻止する効果はないようです。しかし、感染しても発病を予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関して一定の効果があるとされています。高齢者では34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果あったと報告されています。小児を対象にした、ある研究では発病防止にたいするワクチンの有効率は60%と報告されています。
簡単に言うと、『ワクチン接種しても感染は0にはできないが、感染してもひどい症状になりにくい。』と言えます。
☆ワクチンは接種すべきなのか?
僕自身は毎年接種しています。もちろん、職業上接種すべきということもあります。診察する側の医師が感染することはできるだけ避けたいです。
それ以上に、すべての医療行為にいえることですが、メリットとデメリットを天秤にかけるべきと考えています。ワクチンのメリットは前述したとおりですが、すべての医療行為(ワクチン、内服、手術など)にはデメリット(合併症や副作用)がつきものです。インフルエンザワクチンの副作用は発疹、蕁麻疹、かゆみ、発熱、倦怠感などを認めることがありますが数日で改善することが多いです。まれにショックや、アレルギーなど重大な副作用もあるようですが、100万人に1人のようです。重大な副作用を無視することはできませんが、やはり低確率のため、『ワクチン接種のデメリットよりメリットが勝る』と、僕は判断しています。そのため患者さんにも接種しています。
☆いつ接種すべきか??
地域差はありますが、インフルエンザの流行が1月から3月に多いと言われています。ワクチンの効果が接種してから2週間後~約5か月間とされていますので、10月中旬から12月中旬までにはワクチン接種を行うことが適当といえます。
当院でもインフルエンザワクチンの接種を行っていますが、毎年ワクチンの量が限られており、ご希望にそえないことがあります。ワクチン接種希望の方は、電話や受付での確認をよろしくお願いします。
参考:インフルエンザ・肺炎球菌感染症予防接種ガイドライン 2019年度版