花粉症について 2022年 (三重県伊勢市小俣町耳鼻科病院やのはらクリニック)

みなさんこんにちは。耳鼻咽喉科やのはらクリニック院長の矢野原元です。

現在(1月31日)、日本は新型コロナウイルス感染症の第6波の真っただ中にあります。本日、ネットニュースをみていたら『愛知県がんセンターの診療制限』という記事がありました。新規の入院、外来、手術を制限しているとのことでした。理由は自宅待機の職員が増えているとのことでした(本人が濃厚接触者にあたる、子供の保育園や小学校の休校などの理由)。『愛知県がんセンター』といえば東海地方を代表する癌の拠点病院といえ、耳鼻咽喉科の分野でも、喉頭癌や、下咽頭癌などの治療で日本のトップクラスの治療をうけられる病院の一つと思います。おそらく緊急性のある患者さんは制限をしないとは思いますが、少なくとも治療診断が遅れる癌患者さんがでることは間違いないと思います。テレビでは、新型コロナ感染者数やコロナ病床使用率ばかり報道されますが、第6波では他の病気での医療崩壊が確実に起きています。

コロナ感染以外の病気の患者さんが、十分な医療を受けられない体制でよいのでしょうか?オミクロン株の重症化率、致死率、入院率などを考えた時に、本当にこのままの2類感染症扱いのままでよいのでしょうか?このまま休園や休校が増えれば、またこのまま濃厚接触者を隔離していては、病院からスタッフがいなくなってしまうのではないでしょうか?

話は変わりますが、今年も『花粉症』の季節がやってきます。花粉症は、スギなどの植物の花粉で起こるアレルギー疾患です。くしゃみ、鼻みず、鼻づまりといった鼻の症状や、目のかゆみ、充血といった目の症状などを引き起こします。春はスギ、ヒノキが多いです。伊勢市では2月中旬から5月にかけて、つらい症状に悩まされる方が多いです。

2022年春の花粉飛散数は全国的に多くなる見通しです。東海は2021年の1.5倍くらいの飛散量ではとの報告がありました。また、このコロナ禍では、鼻汁や咳などの症状が上気道炎症状(風邪症状)と似ているため、アレルギーをしっかり抑えておいたほうがよさそうです。

昨年の当院の傾向を申し上げますと、2月の最終週が最も患者さんが来院されました。2月の中旬くらいにスギ花粉が本格飛散し、2月終盤に症状が強くなり、たまらず薬が欲しくて耳鼻科受診された患者さんが多かった印象です。花粉症の初期治療として、症状が強くなる前に内服が効果的です。可能な方は、2月10日~中旬くらいからの内服開始をお勧めします。2月中旬ならクリニックも混雑しておらず、症状が軽ければ安全な薬を長期に処方できると思います。

僕も、重症の花粉症患者です。実は、友人の耳鼻科医にすでに処方してもらって服用開始しています。このコロナ禍で診察する側の僕が、くしゃみや咳や鼻汁があると申し訳ないので、早めに内服しています。

現在、花粉症に悩む日本人は非常に多く、様々な薬が発売されています。鼻閉に良く効く薬、1日1回内服で眠気の少ない薬、張り薬、注射薬(今のところ非常に高価)、眠気はありうるが強く症状を取る薬、点鼻薬などなど。それらのほとんどを、僕は実際に服用した経験があります。また我々耳鼻咽喉科医は患者さんの鼻を診察し、鼻閉型、鼻汁型、ポリープの有無、副鼻腔炎の有無などを確認し、患者さんの年齢やライフスタイルに合わせて、適切な薬を提案します。

僕と一緒に、みなさんに合う薬を探しましょう。

花粉症のご家族や友人にも早めの受診、内服を勧めてあげてください。今年はコロナ流行期とかさなっているので、少し強め(または一つ多めの処方)を心がけます。

第6波では、コロナ感染症が一般的な病気になってきたなと思います。みなさんの身近な人でも感染している人がいると思います。差別や偏見はやめましょう、いつ誰が感染してもおかしくない状況です。最近のニュースをみているとコロナより、ロシアとウクライナ情勢のほうが、人類にとっては大きな問題なのではと思ってしまうのは僕だけでしょうか…。