麒麟はくる(三重県伊勢市小俣町の耳鼻科病院)

みなさんこんにちは耳鼻咽喉科やのはらクリニック院長の矢野原 元です。

東京、北海道、大阪、広島などでは新型コロナ感染の第3波により医療崩壊の可能性が報道されています。現在『新型コロナウイルス』は『指定感染症』となっています。感染した場合の入院勧告や就業制限といった1類感染症(エボラ出血熱やペストなど)や2類感染症(結核など)に近い扱いとなっています。新型コロナが指定感染症である以上、一人の新型コロナ感染症患者にかかる医療資源(医者や看護師を含む)が、他の疾患の患者さんよりも大きくなります。しかも、病院や施設でクラスターが発生すると、休業閉鎖となりさらに違う病院への負担は増していきます。クラスターのあった施設のスタッフも休業を強いられ、違う施設のスタッフの負担は増していきます。そうなると、本来癌や難病を担当する病院もコロナ患者を受け入れざる得なくなります。このまま新型コロナ感染症患者が増えると他の疾患の治療や手術が延期になったり、脳出血や心筋梗塞などの致死的疾患の患者さんの救急対応ができない病院が増えていきます。まさに医療崩壊です。そして厚生省の有識者会議では『指定感染症』扱いを1年間延長して2022年1月まで続けることが了承されているようです。

まだ、欧米にくらべて日本での死亡率が低い原因がわかっていませんし、ワクチンの効果や持続性も未知数のため難しい選択になりますが、万一コロナ感染症の増加で病院が機能しなくなるようなことがあれば、本当にエボラ出血熱やペストと同様の対応をするべきウイルスなのかどうか?このウイルスによって、他の疾患患者さんが後回しになってよいのか?このまま『指定感染症』扱いをするべきなのかどうかの議論が必要になってくると思います。

話は変わりますが、みなさんはNHKの大河ドラマ『麒麟が来る』をご覧になっていますか?年末になり、クライマックスが近づいています。明智光秀の生涯を描いたドラマです。個性的な俳優さんがたくさん出演されており毎週楽しみにテレビをみています。おそらく、コロナ禍において撮影にとてつもない制限があり、派手な合戦シーンなどが撮影できず、個々の俳優の演技力に頼るシーンが多いのでしょうか。本当にプロの演技といった感じで(やりすぎの俳優さんもいたりして楽しい)。特に序盤の斎藤道三役の『本木雅弘さん』は最高でした。

僕のもっている明智光秀のイメージは『ずるがしこい裏切り者』でした。しかし、このドラマでは全く違う光秀像で描かれています。光秀がどのような理由で信長を裏切るのか。またこのドラマが最後の『本能寺の変』をどのように描くのか?すごく楽しみです。タイトルの『麒麟』の意味ですが、中国の歴史書の『史記』では穏やかな世になったとき現れる霊獣が麒麟のようです。NHKは意図してなかったと思いますが、コロナ禍の今年にとって、とても深いタイトルになっています。

今年もみなさん本当にありがとうございました。移動自粛でさびしい正月になる人もいると思います。寒い日が続きますが、十分お体に気を付けてお過ごしください。来年も少しでもみなさんのお役にたてるように元気に診察させていただきます。

来年は、麒麟が来る!