耳垢について(三重県伊勢市小俣町の耳鼻科病院やのはらクリニック)

みなさんこんにちは。耳鼻咽喉科やのはらクリニック院長の矢野原元です。

夏前には各学校で耳鼻科検診が行われます。プールの授業前に耳のチェックということで昔からこの時期のようです。僕は小俣小学校、小俣中学校、明野小学校、明野高校、度会小学校、度会中学校、皇学館中学校、皇学館高校、わかば学園が担当になっています。地域社会貢献が少しでもできればと、依頼のある学校すべて受けていたらすごい数の検診になってしまいました。最近は、クリニックの診察に加えて、休日に学校の検診、コロナワクチンの高齢者集団接種の問診、医師会のPCRセンターへの出務もあり忙しい日々を送っています。しかし、大学病院や総合病院に勤めていたときと比べると、当直や緊急の呼び出しがなくONとOFFがはっきりして楽です。多くの勤務医の先生方は、休日も昼も夜もなく、常に緊急電話を気にしながらプライベートを犠牲にして一生懸命働いておられます。このコロナ禍ですから一層大変と思われ、感謝しかありません。

子供たちの検診をしていると、圧倒的に多いのが耳垢栓塞(耳垢で外耳道が栓されている)です。さすがに、高校生の検診をしていると少ないですが、小学生ではかなりいます。
なんでこんなに耳垢がつまってるのに、不快にならないのか⁉耳は聞こえてる⁉となってしまいます。
耳垢が完全につまる耳垢栓塞では聴力もおちてしまいます。耳垢がゆっくりとたまって聴力が徐々におちると、小さい子供では気づかないこともあるようです。子供以外では、自浄作用(耳自体がきれいにしようとする能力)がおちている高齢者や、耳手術後の患者さん。また、外耳道がせまい人や、軟性耳垢(日本人ではすくないべちゃべちゃの耳垢)の人などが耳垢栓塞になりやすいです。

一度、お子さんの耳の中がつまってないかみてあげてください。耳垢がつまってとれないようでしたら、遠慮なく耳鼻科を受診ください。大人の方も、もちろん受診ください。我々耳鼻咽喉科医は、耳、鼻、のどの異物を取ることに慣れています。耳垢以外では、のどに刺さった魚骨や、子供が鼻にいれたおもちゃ、耳にいれたビーズなどをよく除去しています。大暴れする子供の耳垢除去や、カチカチになって除去困難な耳垢除去は、耳鼻科開業医の大事な仕事の一つと考えています。

学校検診に行って、もう一つ気になることがありました。検診の多くは保健室で2時間弱くらい行うのが普通です。その間いろんな生徒がいろんな不調を訴えて保健室を訪れるのです。ベッドで寝ている子もよくみかけました。頭痛や腹痛が多いようでした。僕が、学校検診をして3年目ですが、今年は本当に保健室に来る子が多いなと感じました。大半の子は重症でなく、保健の先生に話を聞いてもらって、保健室で休んで教室に帰っていきます。当院を受診する子供でも、頭痛やめまいの訴えが増えました。コロナ前は、子供のめまいの診察なんて年に数人でしたが…。考えられるのは、やはりコロナ禍による精神的な影響でしょうか。

国立成育医療研究センターが実施した『子供の心の健康・悩みに関する調査』では、コロナの影響が続く中、小学4-6年生の15%、中学生24%、高校生で30%に『気分の落ち込みや物事を楽しめないなどの抑うつ状態』がみられたと報告しています。また子供の3人に1人で、『学校に行きたくない日がある』と答えたとの報告もあります。もちろんコロナ前との比較が必要と思われますが、高い数字で驚きました。

テレビでは連日コロナ報道をやっています。親も先生も、手洗いやうがい、発熱、他人との距離感などに神経質になります。発熱があったら、外にでない、他の子と遊ばない、外に出かけることが減りゲームが増える、旅行や部活の大会が中止になった子もいるでしょう。大仏山公園やプールでも、常に『ソーシャルディスタンスを守ろう』や『熱中症に気をつけましょう』など注意放送されます。それらは、子供たちの心理的な窮屈さの原因になると思います。

僕にも子供がいますが、コロナをどう伝えるかは本当に難しいです。社会の一員として、コロナ収束にむけて、子供でも協力しなければいけないことはあると思います。『各年齢でやれること』をやることが、コロナ収束のためになると説明するしかないと思います。いたずらに不安がらせず、一生この状況が続くことはなく、コロナ後の話をいっぱいするべきと思います。

僕も、コロナが収束したら大阪の『海遊館』に娘をつれていきたいです❕

どうかみなさん、子供のメンタル面の健康にも気をつけてください。

💦

残念ですがコロナ流行はもう一山きそうです。

これほどまでに感染者数に地域差が生まれて、また、ワクチンの供給が十分でないなら、東京、大阪にコロナワクチンを重点的に配布して、都会の若者にどんどん接種していくしかないと思うのですが…。

みなさん、コロナ後を楽しみに。